後輩なのに______
私は男子陸上部のマネージャーをしている。
「とりあえず休憩!みんな水分取ってー!」
「「はーい」」
「あ、石澤くん最近ベスト出たみたいやね」
「そうなんですよ!次の府大会絶対勝ちます!」「頑張れ!なんかあったらあたしに言うてな??」
「先輩!ありがとうございます( ˆoˆ )」
そう言って去っていった石澤くんの背中を見つめる。
私は石澤くんが好きだ____
そう悩んでいた時のこと。
「お、なごみ、お前今日空いてる?」
「え、ジョーやん、、部活終わりで良かったら空いてるけど?」
「そうか、話したいことあるし久々に一緒に帰ろうや」
「うん、いいよ〜」
久しぶりにジョーに話しかけられた。ジョーは私の幼馴染。最近はピアスも開けて制服も着崩してヤンキー(?)の道を歩み始めていた。
「はい!今日の練習は終わりです!」
そんなコーチの声がグラウンドに飛び交う。
「「ありがとうございましたーー」」
石澤くんもそう言って更衣室に戻って行こうとしていた。「あ!石澤くん…!明後日の府大会頑張ってね」そう言って私はお手製のお守りを渡した。
「わー!先輩ありがとうございます!これで頑張れそうです!」そう笑顔で返してくれた。
そんなやり取りを影からアイツが見ているとも知らずに_____
「ごめん、ジョー、お待たせ。」
「………」
「なに?言いたいことって?」
「………」長い沈黙の後やっとジョーが口を開く。
「…お前さ…石澤のこと好きなん?」
「え、うん、まぁ…」
そう言って言葉を濁す。
「だから嫌って言ったやん、お前がマネージャーなるん」
「そんなん私の勝手やんか!!!」
「お前のこと誰にも渡したくないねん!俺にはお前が必要やねん!!!」
すごい剣幕でそう言われる。
「え…?」
「でもお前はもう俺のこと見てくれへんねんもんな」
そう冷たく言い放ち、私のことを殴ろうとしてくるジョー。
「やめてください___!!!」そんな大きな声が路地裏に響く。
そこにはジョーに一発殴られている石澤くんの姿。
「ジョー…。お願いやからやめて…!!」
そう言ってジョーを止めようとする。
「なごみ先輩大丈夫ですから!後は俺に任せてください!」
そう言われ一歩下がる。
石澤くんは軽い身のこなしでジョーの拳を避けていく。その間私は学校に電話をかけた。
「すみません!誰か!助けてください…!」
少しして教頭先生も体育の先生が駆けつけた。
ジョーは連れて行かれ、2週間の謹慎処分となった。
「石澤くん、ごめん!ほんまに!大丈夫??」
「大丈夫ですって、そんなことより先輩守れてよかった…」
「ほんまにごめん…私のためにありがとう…」
石澤くんは2日後の県大会に出場し、私と約束した通り優勝を果たしたのだった_____。